【行政法・第12回】行政不服審査法(総則)を攻略!救済制度の全体像と「一般概括主義」

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行政手続法の「事前のルール」を学んだ次は、いよいよ「事後の救済」である行政不服審査法に入ります。

行政から下された処分に納得がいかないとき、私たちはどう反撃できるのか? その全体像を一緒に見ていきましょう。

この記事が参考になる方

  • 行政不服審査法と行政事件訴訟法(裁判)の使い分けを知りたい方
  • 「一般概括主義」という言葉の本当の意味を理解したい方
  • 文句を言えないケース(適用除外)を正確に整理したい方

不服審査法は、行政事件訴訟法とセットで狙われることが多いです。まずは「どこで戦うのか」という地図を手に入れるところから始めましょう。


肢別過去問チェック:本日の問題

行政不服審査法は、行政庁の違法な処分だけでなく、不当な処分についても不服申立ての対象としている。

【答え】 ◯(正しい)

答えの考え方:「違法」と「不当」の両方がいける!

ここが「裁判(行政事件訴訟)」との最大の違いです。

裁判所は「法律に違反しているか(違法)」しか判断できませんが、不服審査は同じ「行政の身内」がチェックするため、「法律違反ではないけれど、やり方が不適切だ(不当)」というレベルまで踏み込んで判断してくれます。

国民にとって、より間口が広い救済制度と言えますね。


救済制度の全体像:不服審査 vs 訴訟

行政の処分に文句を言うルートは、大きく分けて2つあります。


【行政救済のルートマップ】

行政不服審査法(行政ルート)

 → 行政庁に対して「考え直して!」と言う。

 → メリット:お金がかからない、早い、「不当」も言える

行政事件訴訟法(裁判ルート)  

裁判所に対して「処分を取り消して!」と訴える。  

→ メリット:第三者(裁判官)が公平に判断してくれる。

現在、日本のルールでは「自由選択の原則」が取られています。つまり、いきなり裁判をしてもいいし、まずは不服審査から始めてもいい。自分に有利な方を選べるというわけです(※一部、例外もあります)。

2. 一般概括主義の仕組み

不服審査法の1条や2条に出てくる「一般概括主義」という言葉。難しく聞こえますが、意味はシンプルです。

一般概括主義とは:

「あらかじめ法律で『これはダメ』と書いてある例外を除き、すべての処分に対して不服申立てができる」というルールのこと。

昔は「この処分なら文句を言っていいよ」とリストアップされていましたが、今は「原則すべてOK」に変わりました。私たちの権利を守るために、門戸が大きく開かれているんですね。

適用除外:文句を言えないケース

「原則すべてOK」と言いつつも、やはり例外はあります。3条と4条に書かれている「適用除外」を整理しましょう。

カテゴリー具体的な内容適用除外の理由
他で救済がある刑事事件、国税の処分など他に専門的で厳格な不服手続が用意されているから。
政治・外交外国人の出入国、恩赦など高度な政治的判断が必要で、一般的な不服審査にはなじまないから。
内部・特殊な場公務員のクビ、学校の成績、刑務所の規律組織内部の規律維持が優先され、外からの不服審査が難しいから。

行手法との違いに注意!

行政手続法の適用除外と似ていますが、少しずつ違います。例えば「地方公共団体の条例に基づく処分」は、手続法では除外でしたが、不服審査法では除外されていません 条例に基づく処分であっても、不服申立てはできるんです!

【重要】記述式対策フレーズ

行政不服審査法1条の「目的」は、多肢選択式や記述式でキーワードが狙われます。

Q:行政不服審査法の目的として、国民の権利利益の救済以外に掲げられているものは何か?

A:行政の適正な運営を確保するとともに、簡易迅速かつ公正な手続による救済を図ること。(40文字)

「簡易迅速」と「公正な手続」という対照的なキーワードをセットで書けるようにしましょう。

【SEO・試験あるある】「救済」をめぐるキーワード攻略

肢別過去問で、受験生が「あれ?」となりやすいポイントをピックアップしました。

1. 「自己の利益を侵害された者」

不服申立てができるのは誰か? 条文では「行政庁の処分に不服がある者」とされていますが、これは「法律上の利益」がある人を指します。単に「気に入らない」という感情だけでは申し立てられません。

2. 「審理員」という新キャラ

平成26年の改正で登場した「審理員」。処分に関わっていない職員が、公平に審理を担当する仕組みです。「行政の身内チェック」の公平性を高めるための重要ワードです。

3. 「裁量」への踏み込み

「10万円の罰金か、5万円の罰金か、どっちでも選べる(裁量がある)」という場合、裁判所は「10万円でも法律の範囲内ならOK」としますが、不服審査は「5万円の方が妥当(不当ではない)じゃない?」と踏み込めます。

これが「不当」を争える強みですね。

次回予告

次回は、不服申立ての種類と、そのメインディッシュである「審査請求」の手続きをアウトプットします!

「誰に対して」「いつまでに」申し立てるのか。具体的な数字も出てきますが、流れで覚えれば大丈夫です。

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