【行政法・第9回】行政手続法を完全攻略!申請と不利益処分の違いと適用除外の罠

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行政法の学習もいよいよ中盤の山場、「行政手続法」に突入です!

この法律は、行政が勝手なルールで私たちを困らせないよう、「あらかじめ手続きのルールを決めておこう」という国民の守り神のような存在です。

この記事が参考になる方

  • 行政手続法の「目的」と「対象」を最短で整理したい方
  • 「申請に対する処分」と「不利益処分」の区別が曖昧な方
  • 試験で頻出の「適用除外(ルールが及ばないケース)」を理由付きで覚えたい方

行政手続法は、条文の言葉を正確に押さえれば確実に得点源になります。一緒に4つの柱を整理していきましょう!

肢別過去問チェック:本日の問題

飲食店を営もうとする者が保健所に営業許可を求めたところ、これを拒否された。この「許可の拒否」は、行政手続法上の「不利益処分」に該当する。

【答え】 ×(誤り)

答えの考え方:今から「してほしい」のか、今の権利を「奪われる」のか

ここ、私も最初どっちか迷ったポイントです。理解のコツはこうです。

  • 申請に対する処分 これから何かを「してほしい」と自分からお願いすることです。例えば、お店を開きたいから「許可をください!」と申請して、それがダメ(拒否)と言われるのは、まだ権利を持っていない状態でのやり取りなので「申請に対する処分」に含まれます。
  • 不利益処分 今持っている権利を、あちらから一方的に奪われる「ペナルティ」のようなものです。すでにお店をやっている人が「ルール違反をしたから営業停止だ!」と言われるのがこれに当たります。

「お願いしたけど断られた」のは申請、「持っていたものを没収された」のが不利益処分。この区別を頭に入れておくだけで、手続きのルールの使い分けがスムーズになります。

行政手続法を支える「4本の柱」

行政手続法は、大きく分けて4つのカテゴリーでルールが決まっています。

処分(申請に対する処分 & 不利益処分)

行政が個別のケースに対して判断を下す、最も重要な部分です。

  • 申請に対する処分:審査基準をあらかじめ決めて公表する義務があります。「後出しジャンケン」をさせないためです。
  • 不利益処分:ペナルティを与える前に、言い分を聞くチャンス(聴聞や弁明の機会)を与えなければなりません。

行政指導

前回も少し触れましたが、行政からのお願い(アドバイス)です。

無理強いは禁止されており、口頭で言われた場合でも「書面でください」と言えば、原則として交付しなければならないという透明性のルールがあります。

届出

「お店を辞めます」といった、行政に知らせるだけの手続きです。

書類が窓口に「到達」した瞬間に手続きが完了するのがポイントです。行政が「受理したくない」と拒否することは原則できません。

命令等制定手続(パブリックコメント)

行政が新しいルール(命令など)を作るときに、広く一般から意見を募る手続きです。

「勝手に変なルールを作らないで!」と国民が意見を言える、民主的なプロセスです。

【最重要】行政手続法の「適用除外」マスター表

試験で最も狙われるのが、「この法律のルールが通用しないケース」です。3条に書かれている複雑な内容を、理由付きで整理しました。

カテゴリー適用されないケースなぜルールが及ばないのか(理解のヒント)
国家の根幹国会・裁判所の判断、外交、刑事事件、税務処分など三権分立や高度な政治判断、または独自の厳しいルール(刑事手続など)がすでにあるため。
公務員の身分公務員のクビや退職金、試験の合否など行政の「内部的な問題」であり、国民一般を対象とする手続法とはなじまないため。
学校・監獄児童・生徒の教育、刑務所内の規律など特殊な人間関係や管理が必要な場であり、一般の行政ルールをそのまま当てはめるのが難しいため。
地方公共団体地方公共団体独自の「条例」や「規則」に基づく処分その地域独自のルールがあるはずなので、国の法律(行手法)を無理やり押し付けないという配慮。

地方公共団体の行為についての整理(重要!)

独学で勉強していると、ここが一番「どっちがどっちだっけ?」とパニックになるポイントですよね。私も今日、図解を書きながら整理してようやく納得できました!

「地方公共団体(都道府県や市区町村)が行うこと」なら何でも行政手続法の対象外になるわけではありません。「何のルール(根拠)に基づいてやっているか」で、適用される法律がパキッと分かれるんです。

地方公共団体の行為:適用されるルールの見分け方
結論から言うと、判断基準は「根拠が国の法律か、それとも地方の条例か」の1点に尽きます。

  1. 国の「法律」に基づいて処分を行う場合
    たとえ処分をするのが市長さんや知事さんであっても、その根拠が「国の法律」であるなら、ルールは全国共通であるべきです。

理由:根拠が国の法律なら、どの県で受けても同じ手続き(審査基準の公表や聴聞など)が行われないと不公平だからです。

  1. 地方の「条例・規則」に基づいて処分を行う場合
    その地域独自のルール(条例)に基づいて行うことなら、手続きもその地域のやり方を尊重しよう、という考え方です。

理由:地方自治の精神に基づき、自分たちのルールについては自分たちで決めた手続き(行政手続条例)に従えばOKという仕組みです。

試験で狙われる「ひっかけ」ポイント!
ここが一番怖いところです。試験では以下のように問われます。

「地方公共団体の機関が行う処分については、その根拠が条例であるか法律であるかを問わず、行政手続法は適用されない。」

答え:×(誤り)

「法律」に基づいているなら、たとえ地方公共団体が行うものでも行政手続法が適用されます。
「条例」に基づいているなら、行政手続法は適用されません。

比較表:法律の根拠・条例の適用関係

行政手続法が「条例による処分」にどこまで及ぶのかをまとめました。

処分の根拠行政手続法(国の法律)の適用理解の説明
国の法律に基づく処分適用される処分の主体が国でも市町村でも、根拠が「国の法律」ならルールは全国共通。
条例・規則に基づく処分適用されない(努力義務)独自の地域ルール(条例)には、国のルールを強制せず、地方の自主性を尊重する。
行政指導・届出(条例・規則ベース)適用されない(努力義務)処分と同様に、条例に基づくものは各自治体の手続条例に任せる。

記述式対策:審査基準の公表

申請に対する処分で、最も出題されやすいフレーズです。

Q: 行政庁は、申請に対する審査基準についてどのような義務を負っているか?

A: 審査基準を定め、かつ、行政上特別の支障があるときを除き、これを公表しなければならない。(45文字)

「定める」だけでなく「公表する」までが義務(マスト)であることを、セットで脳に刻みましょう!

次回予告

次回は、今回取り上げた「処分(申請に対する処分と不利益処分)」について、さらに深掘りして具体的に解説します!

「標準処理期間」や「聴聞」など、実戦で確実に点を取るための細かい知識を一緒に整理しましょう。

その次は行政指導、届出、命令等の予定です。一歩ずつ、確実に。

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