行政事件訴訟法の山場、抗告訴訟もいよいよ大詰めです。
これまでは「出された処分を消す(取消訴訟)」話が中心でしたが、世の中には「処分がひどすぎる」「役所が何もしてくれない」「これからされる処分を止めたい」といった様々なケースがあります。
この記事が参考になる方
- 無効等確認、不作為、義務付け、差止めの「使いどころ」を整理したい方
- 取消訴訟のルールが「準用される・されない」の理由を納得したい方
- 「なぜ不作為の訴えに執行停止がないのか?」をスッキリ理解したい方
肢別過去問チェック:本日の問題
不作為の違法確認の訴えには、処分が行われていない以上、執行停止に関する規定は準用されない。
【答え】 ◯(正しい)
答えの考え方:止める対象が「ない」から
「執行停止」とは、今まさに動いている処分の効力を「一旦ストップ!」させるものです。
不作為の訴えは、役所が「何もしていない(黙り込んでいる)」ことに対して文句を言うもの。止めるべき「アクション」がそもそも存在しないため、物理的に執行停止という概念が馴染みません。
抗告訴訟・残りの4メンバーを紹介
取消訴訟以外の4つの訴訟には、それぞれ決まった「出番」があります。
| 訴訟名 | 使いどころ(例) |
| ① 無効等確認 | 処分があまりにデタラメで、最初から効力がないとハッキリさせたい時。 |
| ② 不作為の違法確認 | 申請したのに、役所が相当な期間を過ぎても放置している時。 |
| ③ 義務付け | 役所に「許可を出せ!」「処分をしろ!」と命じてほしい時。 |
| ④ 差止め | 役所がこれからやろうとしている処分を「やるな!」と止めたい時。 |
【徹底比較】取消訴訟ルールの「準用」と「なぜ?」の正体
試験で最も狙われるのが、これら4つの訴訟に「取消訴訟のどのルールが適用(準用)されるか」です。丸暗記ではなく、理由で攻略しましょう。
【準用・非準用マスター表】
| 項目 | 無効等確認 | 不作為 | 義務付け | 差止め |
| 出訴期間 | × | × | ◯ | ◯ |
| 執行停止 | ◯ | × | × | × |
| 事情判決 | × | × | × | × |
| 被告適格 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
「なぜそうなるのか?」解説
- 出訴期間(無効・不作為は×)
- 無効:最初からゴミ同然の処分。半年過ぎたからといって有効(訴えられない)になるのはおかしい!
- 不作為:役所が黙っている限り、いつまでも「不作為の状態」は続くので、期限を設ける意味がない!
- 執行停止(不作為・義務・差止は×)
- 不作為・義務:まだ何もされていない(または、してほしい)状態。止めるべき「現在の執行」がない!
- 差止め:差止め訴訟そのものが「止めるため」の裁判。さらに執行停止を重ねる必要がなく、代わりに「仮の差止め」という別の武器が用意されています。
- 事情判決(すべて×)
- 無効なものを「公共のために有効」としたり、何もしないことを「公共のために許す」のは、法治国家の限界を超えてしまうため、取消訴訟だけの特権です。
【重要】記述式対策フレーズ:義務付けと差止め
平成16年の法改正で導入された「義務付け」と「差止め」は、要件が厳しく、記述式でよく狙われます。
Q:差止めの訴えを提起するための要件(重大な損害以外)を答えよ。
A:一定の処分がされるべきでないことが明白で、他に適当な方法がないとき。(34文字)
この「他に適当な方法がない(補充性)」という言葉は、無効等確認訴訟でもキーワードになります。
【試験あるある】義務付け訴訟の「2つの顔」
義務付け訴訟には、さらに2つのパターンがあります。
- 直接型(非申請型):自分は何も頼んでないけど、役所に「アイツに罰則を与えろ!」と義務付ける。
- 申請型:自分が申請したのに、拒否されたり放置されたりした時に「許可を出せ!」と義務付ける。
ここが試験に出る!
「申請型」の義務付け訴訟を起こすときは、必ず**「拒否処分の取消訴訟」や「不作為の違法確認訴訟」をセット(併合提起)**しなければなりません。
「許可を出せ!」と言うなら、今の「ダメだという返事」を消すか、「黙っている状態」を確定させる必要があるからです。
次回予告:行政事件訴訟法・完結!
次回、ついに行政事件訴訟法がフィナーレを迎えます。
「当事者訴訟・客観的訴訟・教示」。
抗告訴訟以外のメンバーは地味ですが、実は得点源。最後の一押し、しっかり決めていきましょう!
取消訴訟の振り返りはこちら。
【行政法・第15回】取消訴訟の「7つの門番」を攻略!処分性と原告適格の判例マスター
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