これまで学んできた「取消訴訟」などは、行政の強いパワー(公権力)に対して「やめて!」と言うものでした。 対して、今日学ぶ「当事者訴訟」は、もっと対等な立場の争いです。でも、中身が「公のルール」に関わるから、民事裁判ではなくわざわざ行政訴訟の枠組みに入っています。
この記事が参考になる方
- 「当事者訴訟」と「民事訴訟」の違いを、具体例で納得したい方
- 形式的当事者訴訟の「お金の揉め事」の構図を整理したい方
- 民衆訴訟・機関訴訟の「ここだけは暗記!」という得点源を知りたい方
肢別過去問チェック:本日の問題
土地収用法に基づき、収用された土地の補償金の増額を求める訴訟は、収用委員会を被告として提起しなければならない。
【答え】 ×(誤り)
答えの考え方:お金の喧嘩は「払う人」と「もらう人」でやる
これは「形式的当事者訴訟」の典型例です。 「土地を没収する」という決定をしたのは収用委員会(役所)ですが、争いたいのは「金額」だけ。 この場合、裁判の相手(被告)は役所ではなく、実際にお金を払う側(起業者:国や民間企業など)になります。役所は「金額が決まったら教えてね、その通りにするから」という審判のような立ち位置に退くのです。
「当事者訴訟」を完全解明:民事訴訟と何が違う?
当事者訴訟には2つのパターンがあります。
① 実質的当事者訴訟(公法上の権利争い)
「対等な争いだけど、中身が行政のルール(公法)に関わるもの」です。
- 具体例:
- 公務員の給料請求:雇い主(国)との契約関係ですが、法律に基づくものなので当事者訴訟。
- 日本国籍の確認:「私は日本人だ!」という権利の主張。
- 公法上の確認訴訟:選挙権の有無を確認するなど。
② 形式的当事者訴訟(中身は民事、形は行政)
本来なら行政(役所)を相手にすべき「処分の不満」を、「当事者同士の争い」という形で解決するものです。
- 具体例:
- 土地収用の補償金増額:上述の通り、土地所有者 vs お金を払う人(起業者)で争う。
2客観的訴訟:民衆訴訟・機関訴訟の鉄則
自分の権利が侵害されていなくても、「社会のルールとして正しくない!」と訴えるのが「客観的訴訟」です。これには最大の鉄則があります。
「法律に定めがある場合に限り」提起できる!
自分に関係ないことに首を突っ込むので、何でもかんでもOKにすると裁判所がパンクしてしまいます。だから、法律で決まったケースだけなんです。
① 民衆訴訟
国民が、国民としての立場で「正義」を問う訴訟です。
- 選挙無効訴訟:選挙のやり方がおかしい!
- 住民訴訟:役所の税金の使い道が怪しい!
② 機関訴訟
役所(行政機関)同士のナワバリ争いやケンカです。
- 知事 vs 大臣:国と地方の意見対立。
- 市町村 vs 都道府県。
【重要】記述式対策フレーズ:当事者訴訟と準用
当事者訴訟には、抗告訴訟のような「執行停止」という概念がありません。ここが超重要です。
Q:当事者訴訟において、権利の実現を一時的に図るために利用される、抗告訴訟の執行停止に代わる制度は何か? A:民事訴訟法における仮処分に関する規定が準用される。(23文字)
抗告訴訟では「仮処分」は禁止(執行停止があるから)ですが、当事者訴訟では「仮処分」が主役になります。
【試験あるある】当事者訴訟の「わかったような、わからないような」を壊す
「民事訴訟でよくない?」という疑問への回答はこれです。
「公のルール(公法)が絡むかどうか」。 例えば、あなたが国からお金を借りて返さないなら、それはただの「民事」です。でも、「公務員としての給料」や「生活保護の受給権」といった、行政法というフィルターを通した権利については、当事者訴訟という「行政訴訟」の枠組みで扱うのです。
狙い: 「実質的当事者訴訟 わかりやすく」「形式的当事者訴訟 被告」といった検索意図に対し、「お金のやり取りの相手が誰か」という実利的な視点を提示して解決します。
行政事件訴訟法:最後の仕上げ「教示」
行政不服審査法でも出てきた「教示」ですが、訴訟法にもあります。 裁判所ではなく、行政庁(役所)が処分をするときに、「不満なら裁判もできるよ、相手は国で、期限は6ヶ月だよ」と教えてあげる義務です。 不服審査法の教示とセットで狙われやすいので、「裁判でも教示はある!」と覚えておきましょう。
次回予告
行政不服審査法・行政事件訴訟法という「行政法の二大巨頭」を突破しました! 次回からは、行政のミスで損害を受けたときに「お金で解決」してもらう「国家賠償法」へ進みます。 「公務員がわざとやったのか?」「道路の穴で怪我をした!」など、具体的な事例が多くて楽しい分野ですよ!
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