「無罪の裁判」の厳格な壁。少年事件の「不処分」が含まれない深いワケ

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こんにちは!条文のキーワードに日々頭を悩ましている「しあ」です。

憲法40条を読んでいると、こんな規定に出会います。

「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、……国にその補償を求めることができる。」

「人違いで逮捕されて閉じ込められたのに無罪になったなら、お金(補償)を払ってね」という、当たり前といえば当たり前の権利です。

しかし、ここで肢別過去問取組中に躓いたのが「少年事件」との関係です。 「少年だって間違えて身柄を拘束されることはあるよね? その後『お咎めなし(不処分)』になったなら、それも実質的には無罪と同じじゃないの?」

実は、ここに憲法学上の厳格な言葉の定義と、少年法特有の考え方が隠されていました。


Q:問題

憲法40条にいう「無罪の裁判」には、少年事件における「不処分決定」も含まれるというのが判例の立場か?


A:結論

×(含まれない!) ※判例は「無罪の裁判」という言葉を非常に狭く、厳格に捉えています。


不処分の意味を知り尽くす

なぜ少年事件の「不処分」は、憲法40条の対象にならないのでしょうか。そこにはリーガルマインド(法的思考)に基づいた3つの理由があります。

1. 「裁判」という言葉の形式美

法律の世界では、言葉の使い分けに命をかけます。

  • 刑事裁判: 公開の法廷で「有罪か無罪か」をハッキリさせるもの。
  • 少年事件の手続: 家庭裁判所が「少年に教育が必要か」を判断するもの。

憲法40条がわざわざ「無罪の裁判」と書いている以上、それは通常の刑事訴訟で出される「判決」を指すと考えるのが、判例のストイックな立場です。少年事件で出されるのは「不処分決定」であり、形式からして別物なのです。

2. 「無罪」と「不処分」の意味の違い

ここが最も重要です。

  • 無罪: 「あなたは罪を犯していません」という証明。
  • 不処分: 「罪を犯したかもしれない(あるいは犯した)けれど、今は教育的な指導も罰も必要ないから、この手続を終わらせます」という判断。

つまり、不処分決定は必ずしも「白(無実)」を意味するわけではありませんでした。「今回は許してあげる」「教育の必要がない」というケースも含まれるため、これをストレートに「無罪の裁判」と呼ぶことはできないようです。

3. リーガルマインド:憲法は「あえて」限定している

「えっ、じゃあ間違えて捕まった少年は救われないの?」と不安になりますよね。 安心してください。少年に対しても「少年の刑事補償に関する法律」という別の法律で、ちゃんと補償の仕組みが用意されています。

つまり、「憲法40条という『憲法の条文そのもの』に少年事件が含まれるか?」と聞かれたら、答えは「NO」。でも、「少年には補償がないか?」と聞かれたら、答えは「法律で補償されている」となります。


攻略の鍵:「40条」と「刑事補償法」の使い分け

試験では、この「憲法の条文どおりか」と「実定法(法律)まで含めた話か」を区別するのがポイントです。

  • 憲法40条の「無罪の裁判」: 通常の刑事裁判の「無罪判決」のみを指す(判例)。
  • 免訴・公訴棄却(刑事事件): これも形式的には「無罪判決」ではないけれど、実質的に無実であれば刑事補償法で補償されることがあります。

行政書士試験では、「憲法40条の文言に、少年事件の不処分決定は含まれない」という結論だけをまずは鉄板で覚えましょう!


必要な知識となる条文と判例

憲法40条(刑事補償)

  • 一言: 公権力によって不当に身体の自由を奪われた人への、事後的な救済規定。

最大判昭31.12.24(関連判例)

  • ポイント: 憲法40条にいう「無罪の裁判」とは、通常の刑事訴訟手続における無罪の判決を指すものであり、少年保護事件における不処分決定はこれに含まれない。

まとめ:記憶に残る「最後の一言」

「憲法40条は『裁判』にこだわり、少年事件は『法律』で救う!」

「無罪の裁判」という言葉の厳格な定義を理解すれば、3日経った今でもこの肢で迷うことがありません。(笑)言葉の裏側にある「定義へのこだわり」を感じ取ること。それが合格へのリーガルマインドになると信じています。

明日も一歩、合格へ!この調子で言葉の定義をマスターしていきましょう!

リーガル・ステップ|一歩ずつ、自由な未来へ。

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